今回はお題をお借りして、お題に沿って書かせて頂きました。
お題を貸して頂いたサイト様は此方です→



スザルル(ギアス)

甘くて、美味しくて、大好きだから。
だから、自分で食べるよりも、大好きな人にあげようと思った…

〜とろけるチョコレート〜

ルルーシュは1つだけ中身の入ったチョコレートの箱を眺めていた。
差出人は不明。
生徒会室に戻って来ると、誰も居ないのに、その箱のみが机に置いてあった。
トイレに行って、帰ってくる数分の出来事。
本日はみんな部活やら用事やらで、部屋にはルルーシュ以外居なかった。
ルルーシュは箱の外見を丁寧に見た。
しかし、書いてあるのはお菓子の製造会社や商品名。
製造年月日に賞味期限、成分、そんな事しか読み取れない。
賞味期限は切れていない。
外では無いのなら中なのかと、箱の中をまじまじと見るが、チョコレート色の紙が貼ってあるのみで、変わった様子は無い。
チョコレートに仕掛けでもあるのだろうか?
しかし、チョコレートは解かれた様子は無く、包みを開いて見たが、長方形の普通のチョコレートだった。
「食えってことか?」
自分宛に置いていかれたならば、そう考えるのが妥当である。
しかし、今日はバレンタインでもなければ、会長お得意のイベント事の日でも無い。
「気味が悪いな」
ルルーシュは考えながら、箱を持ち上げて目の前で翳して見たり、もう一度箱を見たりしていた。
でも、謎は謎で、一向に出口が見えてこない。
そして、箱を見ている内に昔の事を思い出した。
ルルーシュやスザクたちが子どもの頃の昔からあるこのチョコレート会社の製品。
1箱に10個のチョコレートが入っている。
ルルーシュとスザク、そしてナナリーで分けると1個余ってしまうのだ。
余った1つは一番小さなナナリーへと行くのがスザクとルルーシュの暗黙のルールになっていた。
しかしある日、その1回だけだったが、突然スザクが自分のチョコレートを1つルルーシュに渡したのだ。
ルルーシュは分け分だから要らないと断ったが、スザクは『お前チョコ好きだろ!?食ってる時すっげー幸せそうな顔してるから、オレのやるっ』と有無を言わさずに渡してきた。
『要らない!』『やるっ!!』を何度も繰り返し、スザクの手にあったチョコは、スザクの手の熱でとろけ始めてしまった。
仕方なく、スザクはチョコレートの紙を破り、無理矢理チョコレートをルルーシュの口にほおり込んでその場は終了。
素直にありがとうってもらっておけば、可愛げもあったのかと、今更になってルルーシュは思う。
そして不意に思いつく。
明日、スザクに会ったらチョコレートを1つ、プレゼントしてやろうと。
あの頃の記憶を、スザクは覚えているのだろうかと考えるルルーシュの瞳は、幼い頃の無邪気な面影を残していた…






シュナルル(ギアス)

素っ気無い塩の味。
その上にジャムやチーズを乗せる事で味が広がる。
ルルーシュはまさに塩味のビスケットだと思う…

〜サクサクビスケット〜

「にいさま、ボク、がんばってチェスをおぼえました!」
「にいさま、べんきょう、教えてください」
「にいさま…」
「にいさま?」
少し構ってやったらかなり懐いた義弟、ルルーシュ。
まだ舌っ足らずな言葉で『にいさま、にいさま』と連呼する様は可愛らしかった。
あぁ、可愛らしかった。
しかし気が付いたらあんな可愛げの無い生き物に育っていた。
全身から誰も近づけないオーラを放ち、相手を威嚇する。
それは傷ついた黒猫なのか、野生の黒き獅子なのか。
でもそれはそれで面白い。
捕食されるか、捕食するのか。
今のルルーシュには、どちらにもなりえる素質がある。
サクサクしたビスケットのような可愛さを纏った幼少期。
今から彼に乗るジャムは不幸か、苦しみか、絶望か…
どんな味になるのか、私は高みから見物しておく事にするよ。
ルルーシュ、君が最高級の味になったら、私が頂いても構わないかい?




ミレルル(ギアス)

会長の突発企画、飴配り。
飴が沢山入ったバスケットを手に、校内のあらゆる人物に『スザクをよろしく』
とやっている。
ちなみに各々担当があり、俺がスザクの担当。
スザクはシャーリー、シャーリーはカレン、カレンはリウ゛ァル、リウ゛ァルは
ニーナ、ニーナは会長、会長は俺、と、ランダムに決められている。
今更生徒会メンバーを学園内に認知してもらわなくても大丈夫だろうに…
むしろ会長なんかを知らない学園の生徒が居たらお目にかかりたいぐらいだ。
げんなりしながら、作り笑いで飴を配る。
いい加減疲れてきた。
「ほら、もっと元気良く!」
後ろから思いっきりどついてくる女生徒を、俺は一人しか知らない。
今回も企画、統括を行っている人、ミレイ・アシュフォード以外誰が居ると言うのか。
「痛いですよ、会長」
「でも、そんな萎びた顔でやってたら、ルルのイメージは疲れた顔で決まりになるわよ?それでも良いの?」
そんなことどうでも良い。
しかし、不意に会長が真剣な顔をする。
「人の記憶って、脆いけど強いのよ。ほら、もし何かあって、学園から消えても、覚えていてくれる人が居たら、その人の記憶の中でずっと生き続けるの。」
そしてすぐに会長はいつものおちゃらけた顔に戻り、人差し指を唇に当てながら、
「と・に・か・く、ちゃんとやるのよ?良いわね?」
と言って去ってしまった。
仕方無い人だなとは思いつつ、ちょっとは素敵な事を考えてるのかと思い、俺は独り言を呟くのだった。
「貴女には負けますよ、会長…」